個人事業主が会社(株式会社や合同会社)を設立し、事業を法人に引き継ぐことを「法人成り」と呼びます。
今回の記事では、個人事業主が法人成りすることのメリットやデメリット、法人成りに適したタイミングについて解説します。
法人成りのメリットデメリット
■メリット まずは、法人成りするメリットについて、個人事業主と比較しながら見ていきましょう。
■デメリット 主に金銭的負担や事業的負担が増大する可能性があります。
- 赤字でも税金の支払いが発生する(法人住民税/資本金1,000万円以下で従業員50人以下の法人で約7万円)
- 社会保険への加入する必要がある
- 会計や事務手続きなどが増える
- 交際費が全額損金にできない場合がある
- 設立費用、維持費用がかかる
法人成りに適切なタイミング
上記のメリット・デメリットを参考に、法人成りの検討が必要なタイミングをご紹介します。
■個人事業の所得が900万円を超えたとき■
課税所得※1が900万円を超えると所得税と法人税の税率が逆転し、納税額を軽減できる可能性があります。(メリット①参照)
一般的には、この課税所得が900万円を超える時点が法人化を検討するひとつのタイミングと言えます。
【所得が900万円超えの場合】
個人事業主にかかる税率は最大33%
資本金の額が1億円以下の中小法人の場合、年800万円以下の部分については、法人税が15%・800万円超の部分については、法人税が23.2%
※1:所得=収入ー必要経費 つまり利益部分を指します。
例)品物を売って得た金額(収入)ー品物を売るために発生した仕入など(必要経費)=所得
■個人事業の所得が900万円を超えたとき■
個人事業主は、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の発生義務が生じます。
このタイミングで法人成りを行うことで基本的に最初の2年間は消費税が免除されるため、検討には最適です。
ただし、インボイス制度の開始により、必ずしも免税事業者になることがいいとは限りませんのでご注意ください。
上記だけではなく、所得の内訳や事業内容によって法人成りに適切なタイミングは異なります。
ご興味がある方は、ぜひ当事務所までお問合せください。
※記事執筆日における情報を元に記載しております。最新の情報につきましては、国税庁のHP等をご参照ください。
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