司法書士と学ぶ遺言書の書き方と保管方法~終活について学ぼう

終活のために遺言書を準備したいと思ったものの、どのように書けばいいかわからない。そもそも手書きでいいの?ワードでもいいの?という疑問を持つ方も多いと思います。

今回は遺言書の一般的な書き方から注意点まで解説させていただきます。

目次

1.無効な遺言としないために

自身の手書きにより作成する遺言書のことを「自筆証書遺言」と呼びます。手書きによる遺言書であっても書き方は法律で明確に決められています。

ドラマ等で見ると手紙のように最後の想いをつづり遺言書として残している場面も見受けられますが、現実は下記の項目が満たされていない場合や、書き方の間違いがあると遺言の効力として認められない可能性もあります。

◎自筆証遺言書の書き方の基本◎

①全文の内容
②日付
③氏名
④記載した者の押印

※遺言の作成日付は、日付が特定できるよう正確に記載しなければなりません。
例えば「令和6年5月吉日」は具体的な日付が特定できないため認められません。

①〜④は、手書きでないと認められない項目です。

Wordなどのパソコン入力では遺言書として認められません。
しかし、財産の内容(財産目録)については、Word作成でも認められます。

書き間違った場合の訂正や、内容を書き足したいときの追加は、その場所がわかるように示した上で、訂正又は追加した旨を付記して署名し、訂正又は追加した箇所に押印します。

2.自筆証書遺言には二つの保管方法がある

自筆遺言書には、ご自身で保管する方法と法務局に保管してもらう2つの方法があります。
どちらもそれぞれの特徴とメリットデメリットがありますので、見ていきましょう。

保管方法ご自身で保管する法務局に保管してもらう
概要紛失、改ざん等が内容にご自身で大事に保管し、亡くなったあとに相続人の方が間違いなく発見できるようにする必要があります。

相続人の方は遺言書を勝手に開封してはいけません。
裁判所の「検認」という手続きにおいて開封及び確認をする必要があります。

なお、検認は中身の有効無効まで確認するものではありません。未開封であり、内容に改ざん等がないと確認するとともに、後日不正がないようにするための手続きです。

※検認:裁判所による遺言書の外形的確認
遺言書作成後、法務局の内容確認のうえ保管をしてもらいます。

ここでの確認とは、検認と同じく遺言内容の有効無効の確認ではなく、最低限あるべき事項が記載されているかの外形的な確認です。

遺言書の保管手続きが完了すると、法務局より「保管証」が発行されます。
保管証には、遺言書の内容が記載されていないので、そのままご親族にわたすのも手段の1つです。

亡くなった後にご親族が保管証を基に遺言書を確認できるというシステムです。
費用 無料 1通につき3,900円
検認 必要 不要
メリット手軽に作成できる紛失の心配がない
デメリット紛失、改ざんの可能性がある。
中身の事前確認がない。
遺言書すら発見すらされない可能性がある。
親族に保管証を渡す際に遺言書が存在することを知られる。

まとめ

多少の手間はかかりますが私の見解としては、法務局での保管をお勧めいたします。

相続人の方も自宅にある遺言書を発見したら思わず開封したくなるでしょう。

法務局に保管をしておけば紛失の心配もありませんし、亡くなるまで中身を見られず、死亡後の通知等のケア制度も整っております。

ただ、法務局への保管制度だとしても内容の効力についての確認まで求めることはできません。

今回解決した自筆以外で作成する遺言書もありますので後日解説させていただきます。

思いを込めて綴る遺言書。
しっかりと形にするためにも我々士業が皆様のお手伝いをできればと思います。ご遠慮なくご相談ください。

この記事を執筆した士業さん
洲鎌 佑輔 Yusuke Sugama

司法書士法人洲鎌合同事務所

司法書士の洲鎌と申します。
平成元年に神田での開業以来様々な案件を受ける中で、時代と共に変わるニーズに対応し、最善の提案を行ってまいりました。
「お客様ファースト」を前提に最高のサポートを目指し、皆様に「相談してよかった」と感じていただけるよう日々精進しております。
相続、不動産登記、会社登記などについてお困り事がございましたら、是非とも洲鎌合同事務所までお気軽にお問い合わせください。

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